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求職活動中のフランク・スタインは素晴らしい経歴を持っていた。米国の一流大学を卒業し、ジョンソン・エンド・ジョンソンやラッセル・レイノルズといった大手企業の採用担当者を務めたこともある。彼の履歴書には採用担当者を満足させるキーワードがずらりと並んでいた。
一つ問題があるとすれば、スタインは実在する人間ではないことだ。この事実は履歴書の最後にきちんと明記されていた。
スタインは求職者に対する企業の対応を覆面調査する目的で、人材コンサルティング会社キャリアエクスローズが生み出した架空の人物だ。それでも彼が応募した100社の中で、履歴書を最後まで読み、スタインが実在しない人物であることを認識した企業はわずか2社だけだった。
キャリアエクスローズの創設者、マーク・メーラー氏は「採用担当者は履歴書の最初の3段落しか読んでいない」と指摘。「求職者が見てもらえるのはそれだけ」で、採用担当者はその後、自動生成したキーワードでふるい分けし、何百人もの応募者を数十人に絞り込んでいるという。
米フォーチュン誌は毎年「世界で最も働きがいのある企業ベスト100社」を選んでいる。キャリアエクスローズはこの100社に入った企業の人材募集サイトに毎年、覆面調査のための偽の履歴書を送っている。グーグルやゴールドマン・サックス、デロイトなど、人気企業の採用慣行を見抜くためだ。
だが結果は総じて求職者にとってはつらいものだ。応募したのに返事が来ないといった不満は毎年のように聞かれる。
今年は、スタインが応募した100社のうち不採用の通知も何も送らなかった企業は64社に上った。メーラー氏は、履歴書を提出して数カ月経った後でも返事が来なければ求職者は「途方に暮れる」と話す。同社が行った求職者への調査では、圧倒的多数が「自分を採用する気があるのかないのか、それだけでも知りたい」と回答している。
そのほか、スタインに面接の連絡をしてきた企業は6社あった。すでに別の人材が見つかった、またはスタインの経歴がこの職種には不十分だとして不採用の連絡があった企業は28社だった。
By LAUREN WEBER
By LAUREN WEBER
引用:あなたの履歴書、企業が見るのはちょっとだけ-架空の人物見抜けず
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