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New York TimesがiOS優先のアプリ戦略を実験、その成否は

【閲覧注意】大人の時間

 米New York Times(NYT)が編集幹部の大異動を行った2014年、同社の改革案についてまとめた社内資料「Innovation」が社外に流出した。その資料では97ページにわたって、同社がデジタルのどの面で成功し、どの面で失敗しているのかについて赤裸々につづられていた。

【NYTが開発するモバイルアプリの画像】

 記者、編集者、デザイナー、戦略マネジャーから成る著者陣は次のように記している。「私たちは常に自分たちの仕事の及ぶ領域や影響について関心を払ってきた。だが、今日のデジタル時代では、まだ十分にそれを理解できていなかった。デジタルメディアは乱立し、デジタルメディアへの投資額は増え、かなり革新的になっている。そのため、デジタルメディアへの対応が急務となっている」

●一筋の光明となるモバイルアプリ「NYT Now」

 著者陣がわずかな光明の1つとして引き合いに出しているのが2014年4月にリリースしたモバイルアプリ「NYT Now」だ。このアプリは、Web上の注目記事を抽出して読者に提供する。出典はNYTに限らない。著者陣は、このアプリを称賛する一方で、その成功に欠かせない要素は部門間の連係だと指摘している。「デザイン、テクノロジー、消費者インサイトグループ、研究開発、製品など、読者の操作性に明示的に特化している商業的側面にかかわる部門は多い。これらの部門は明らかな統合のチャンスを秘めている」

 企業内の連係こそがデジタル化の鍵だと信じている専門家もいるが、社内資料で称賛されているNYT Nowなど、NYTのニッチなアプリは、別の役割も果たしている。同社で上級副社長と最高情報責任者(CIO)を兼務するマーク・フロンス氏によると、これらのニッチなアプリはデジタル面での試行錯誤を行う実験台になっているという。この種の“仮説をベースとするリーンスタートアップ開発”は、これまで同社では見られなかったものだ。なお、フロンス氏は2015年6月末で同社を退職する意向を2015年5月中旬に表明している。

 ニュース編集室は今もなお進化し、NYTのリソース投入先はモバイルへと変化している。このような状況によりNYTのIT部門は、機敏な開発サイクルおよび実験という新たな現実に直面することになった。重要なのは、ジャーナリストから技術者に転身したフロンス氏が同社の成功にはモバイルの成功が欠かせないと考えていることだ。

●ニッチなアプリの台頭

 印刷物の購読者数は減少の一途をたどっている。モバイルファースト戦略が選択肢の1つではなく必須条件となっているのは周知の事実だ。NYTは、2014年2月にスマートフォン/タブレットで1830万人、デスクトップPCで3000万人のユニークビジターを獲得した。2015年3月後半に開催された「Digital Strategy Innovation Summit」でフロンス氏が行ったプレゼンテーションによると、この2つの統計は、その6カ月後もほぼ変わらなかった。デスクトップPCのユニークビジター数は3000万人で横ばいだったが、モバイルデバイスのユニークビジター数は3050万人に増加していた。

 モバイルファースト戦略の一環として、同社は2014年に少数のニッチなアプリをリリースした。これらのアプリは用途が限られており、小さな画面用に設計されている。それから、少なくとも1つのアプリは、若い世代の読者を取り込むことを目指して作られている。

 「NYT Cooking」アプリは2014年9月に米Appleの「iPad」版、2015年4月にAppleの「iPhone」版がリリースされている。「全世界で見ると米Googleの『Android』を使用しているユーザーの方が多い。だが、読者層を踏まえると、当社にとって最も重要なプラットフォームはApple『iOS』だ」とフロンス氏はいう。このアプリを使用すると1万7000件ものレシピにアクセスできる。新規のレシピもあれば、既存のレシピもある。このアプリでは、自分好みのレシピ集を作ったり、お気に入りのレシピを共有したり、実際に試したレシピを記録したりすることができる。調査会社の米Neiman LabはNYT社員のメモを引用し、このアプリは2014年にβ版から正式版になったわずか2週間後に100万人以上のユニークビジターを獲得したとリポートしている。

 ただし、NYTの全てのニッチなアプリが大成功を収めているわけではない。例えば、2014年6月にリリースされた月額6ドルの「NYT Opinion」は、同年11月に配信を終了した。フロンス氏によると、このアプリは適切な読者層を取り込むことができなかったという。メインアプリと十分な差別化を行うことができず、購買意欲をかき立てることができなかった。それから、収益化を急ぎすぎたように思うと同氏はCIOではなく最高経営責任者(CEO)に近い意見を述べた。

 その後、ミレニアル世代(1980年代後半から2003年の間に生まれた世代)の読者を取り込む起爆剤になることを期待してリリースされたのがNYT Nowだ。「Digital Strategy Innovation Summit」でフロンス氏がプレゼンテーションを行った時点では月額7.99ドルだったが、その5週間後に無償化された。

 米TechTargetのインタビューに対し、フロンス氏は次のように語った。「NYT Nowを無償化したのは、このアプリで採用していたビジネスモデルが最期を迎えたと判断したからだ。当社が提供する全コンテンツと比較すると、このアプリが提供するコンテンツは少量である。このアプリを無償化することでメインアプリへのアップグレードについてユーザーの意欲を刺激するのではないかと考えた」

 これはあくまで推測だ。だが、NYTや他の企業がニッチなアプリについて下した多くの決断のように、無償モデルは実験台だ。NYTが有償のメインアプリに読者を呼び込めるかどうかは未知数だ。

●鍵は実験にあり

 フロンス氏は配信終了の憂き目を見たNYT Opinionについて「このアプリは当社にとって大変ためになる経験をもたらした。また、次なる実験への準備作業にもなった」と語る。それから、NYT Nowについては“他のアプリにおける多くの改革の下地“と見なしている。

 いうなれば、これは「実験の文化」だ。フロンス氏と彼のチームは、全てがうまくいくわけではないことを受け入れる必要があった。「どの組織も『失敗を恐れてはならない』ことを認識している。失敗を恐れるのは皆同じだが、失敗した人々を罰するのは間違っている。意味のない実験とは、決定的な結果を得られない実験のことで、失敗した実験のことではない」と同氏はDigital Strategy Innovation Summitで語った。

 NYT Nowのようなニッチなアプリは、IT部門が試行錯誤できる小規模な実験台になり、メインアプリに施す調整や変更の土台を築く。「ニッチなアプリならメインアプリでは不可能な方法でテストを実行できる。メインアプリは規模が大きい。巨大なユーザーベースに対して膨大な量の変更を行うのは正直気が進まない」(フロンス氏)

 例えば、同社がモバイルアプリの開発に着手したときには他の印刷刊行物と同じように対処していた。コンテンツをWebサイトにアップロードし、自動RSS/JSONフィードがコンテンツをモバイルアプリに配信していた。「モバイル版の読者が増えたため、モバイル向けの操作性を考慮しなければならないことが判明した。そのためには、アプリとコンテンツ管理システムを変更して、編集者がモバイルの操作性をより細かく制御できるようにする必要があった。それを初めて実現したのが『NYT Now』だ」(フロンス氏)

 現在、編集者はコンテンツをモバイルアプリに直接発行できる。「コンテンツの提供方法をプラットフォームごとに分けられるようになった」とフロンス氏はいう。

 IT部門の取り組みもあって、加速化と実験の促進はアプリの開発方法に変化をもたらしている。「多数のテクノロジーを使用する大企業はさまざまな相互依存関係を抱えている。他のチームの作業によって身動きが取れないチームが出てくる。これは当社にとって大きな問題であることに気付いた。そこで、チームが個々に作業できるよう、テクノロジースタックを一新しようとしている」とフロンス氏は語る。同氏と彼のチームが先陣を切って導入したのが“マイクロサービス“だ。マイクロサービスとは、アプリがモノリシックな構造ではなく一連のサービスとして作成されるアプリケーションの開発スタイルだ。

 開発者が登録などの機能を新しいアプリに含める場合、APIを通じてそのサービスに素早くアクセスできる。「何か全く新しいことをする場合を除き、誰かと話をする必要はない」(フロンス氏)

●アプリの飽和状態についての課題

 モバイルアプリのダウンロード数は好調に伸びているが、飽和状態が起こり始めているとフロンス氏は指摘する。そして、ユーザーからの不満の声に対抗するのを困難にするアプリの飽和状態について憂慮している。これは、最終的にデジタルコンテンツの収益化も困難にする課題だ。

 フロンス氏と彼のチームがモバイルアプリを開発するときには、有益かつ便利なものにすることを心掛けている。また、ときには娯楽的な要素を取り入れ、中毒性を持たせるようにすることもある。フロンス氏は、読者を必ずしもNYTのモバイルアプリだけに囲い込む必要はないと考えている。同氏の戦略には、米Flipboardのコンテンツアグリゲーター「Flipboard」などのアプリやGoogleの「Google Playニューススタンド」とパートナーシップを結ぶことで、同社のアプリに「勝手口」を作ることも含まれている。2015年5月中旬、NYTとその他幾つかのメディアは、米Facebookとその新機能「Instant Article」との提携に合意した。

 「共食いの危険性よりも、コンテンツが普及しない危険性の方が重大だ。どのような場合でも自社のサイトやアプリでユーザーを独占できるとは断言できない」(フロンス氏)

 長期的な目線に立って“読者の習慣を育てて、何をどのようにしたいのか考え、収益化を急がないようにすること“に重点を置いているとフロンス氏は語る。2015年はNYTの開発チームメンバーの半数がモバイルに従事し、ニッチなアプリをさらにリリースする予定だ。

 「流行の変化は激しいので、読者がしていること/していないこと、うまくいくこと/いかないことをモバイルから学ぶべく励んでいる」(フロンス氏)



引用:New York TimesがiOS優先のアプリ戦略を実験、その成否は


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